日本子ども虐待防止学会 第28回学術集会ふくおか大会
2022年12月10日、11日に福岡国際会議場で行われた日本子ども虐待防止学会第28回学術集会ふくおか大会に参加してきました。
NPO法人にこりとしては理事長の荒木が座長、産前産後部門の管理者の久保がシンポジストを務め、虐待防止につながるにこりの活動のパネル展示を行いました。
大会企画シンポジウム「周産期からの切れ目のない母子支援で孤立を防ぐ」
にこりが取り組んでいる産前産後支援の訪問看護の効果について発表しました。自分たちが行っているサポートの意味づけをしっかりしていき、支援者の自己満足にならないようにしたいと思います。
(以下抄録です)
NPO法人にこりでは行政や医療機関から紹介を受け、母親に精神・知的・発達障害がある事例や育児に戸惑いが強い事例など育児負担が大きく虐待リスクがある母子に対し訪問看護を導入している。定期的にエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を用いた産後うつの評価や母親の精神状態を確認しながら乳児虐待リスクのアセスメントを行い、その状態に応じて訪問頻度や時間を調整している。母乳ケアや授乳指導が必要な利用者には主に助産師が対応し、精神・知的・発達障害を持つ母親に関しては精神科や小児科の経験者と対応を考えるなど、専門性を活かしてケアを提供している。育児支援や育児指導に加え、清潔保持や食事などの日常生活支援を必要としていることも多く、母親の精神状態悪化の兆候を認めたり、EPDSの悪化を認めたりした場合は、精神科や行政と連携しながら支援を実施している。また、経済的困窮の家庭に対してはフードバンク北九州と提携し、食材の提供を受け、訪問時にお届けする食事の支援も行っている。訪問がない日でも不安や困りごとがあるときはいつでも連絡ができる体制を整えサポートしており、深夜に連絡が来ることもあるが、状態が落ち着くと深夜帯の連絡はなくなり、落ち着いて育児できるようになったケースもある。いずれも介入した利用者の児の成長発達は良好で、現時点では母親の自殺や虐待事例もなく経過しており、支援を継続している。
朝一番の時間帯でしたが、多くの方に参加していただきました。そしてこのシンポジウムでは、大阪母子医療センター病院長の光田信明先生、NPO法人ピッコラーレ代表理事の中島かおりさん、福岡市立西部療育センター小児科の八坂知美先生の講演を聞くこともでき、大変勉強になりました。
パネル展示:「いっぱい笑って、いっぱい遊ぼう」
にこりのパネルの前では多くの人が足を止め、パンフレットを手に取っていただきました。
そして久しぶりの再会や新しい出会いもありました。
「子どもたちのためにできること」を考える多くの人たちと大変有意義な時間を過ごし、明日からの活動のヒントもたくさん見つけることもできた2日間でした。