きっちゃんディズニーへ行く②~スターフライヤーが協力してくれることに~

移動手段に最初は新幹線を計画していたが、新幹線だと福岡から7時間かかり集合時間に間に合わせることが難しい。
そこで、飛行機で行くことに決めた。
きっちゃんにとって、初めての飛行機移動だ。

 

医療デバイス(装置)がある人が飛行機を利用するには、
①飛行機の予約 → ②担当窓口に連絡 → ③機内に乗れるかの判断 → ④OKなら購入、という流れが必要だった。

ANAには医療的ケア児の搬送実績があったが、北九州が拠点のSFJ(スターフライヤー)には実績がなかったため、私はご家族にANAに予約するよう提案した。

しかし、そこでハプニングが起こってしまった。お父さんがANAで予約し購入した後、医療デバイスがある人が連絡する窓口に連絡した時、予約した便がANA、SFJ共同運航便(SFJの機体)だということがわかったのだ。お父さんが購入も済ませていたため、搬送実績のあるANA機体に変更するにはキャンセル料がかかってしまう。
この、予約と購入のタイミングを間違えてしまう人は少なくないのでは?と思った。

私はいろいろな方法を考えたが、キャンセルせずにSFJで行けるのが1番!という結論に至った。そして、SFJが協力してくれるよう働きかけた。
でも、この間、振り返ると何度も何度も心が折れそうになっていた。

 

オレンジの増永さんにこうメッセージを送っている。

「略……課題の抽出は今回のプロジェクトの目的のひとつだと思うんですけど、本当に最初から大変な思いをご家族としています。医療的ケア児の飛行機での移動は予約時点で大変だ。

略 きっちゃんのママと こんなこともあるあると笑いました。どうにかしたいなあと思っています。ただこの現状は発信していきたいと思っています。」

 

1年前に紅谷先生と「医療的ケア児とディズニーへ行こう」という話をした後、私は、実現できた時のために準備をしておこうと、SFJに「医療デバイスがある人の旅行をお願いしたい」というプレゼンを聞いてもらっていた。

荒木俊介先生や小波瀬病院の小児科医松島卓哉先生に紹介してもらったCS推進部おもてなしセンター長の渕恵子さん。初めてお会いした時、パワフルで女性のあこがれのような存在だなあ、そう思った。渕さんが私の話やにこりの活動に共感してくれて実現した機会だった。

最初にプレゼンをしたときは、SFJ側は乗り気ではないのだろうと感じた。医療デバイスの必要な子どもたちの旅行の実現には3年はかかると言われた。すでにお客様満足度No.1であるSFJが、新たな挑戦をする必要はないのだろうと私は感じた。必ず実現しようね。渕さんのことばは優しい。やさしさに包まれて次の機会にまたがんばろう。そう思っていた。

 

もう一度SFJに話をしよう!

きっちゃんをSFJで東京に連れてってあげよう!

私はすぐに行動した。

今回も、渕恵子さんの応援で話は進み、更に、強力な応援団(荒木先生や、先天性ミオパチーの会の伊藤亮さん。ながよ光彩会の貞松徹さんやUniversal MaaSの大澤信陽さん)が協力してくれ、NHKが取材に来るということが後押しとなったのか、ついに、SFJ側からのGoサインが出た!

3年かかると言われていた「医療デバイスがある人を搬送すること」は、各方面に働きかけて3日でGoサインが出て、きっちゃんが1例目となったのだ。

たくさんの人がきっちゃんのために動いてくれ、SFJを動かした。
こんなにトントン拍子に進むなんて、人って暖かいなぁと感動した。
みんな、人のためになりたいと思っているんだ。
何をしてあげたら良いのかわからず、何もできていない人がきっと多いんだ。

この子達(医療的ケア児)が町に出て行けば、町の人は自然と助けてくれる。
助けた実績、助けられた実績の積み重ねで、きっと社会はもっと優しくなれる。

きっちゃんのこの旅行を、ただ「楽しかったです」で終わらせるのではなく、後に続けていかなくては。
この道を、次の人に繋げないといけない、私は強くそう思った。

 

 

酸素や呼吸器を持ち込むための医師の診断書や医療機器を持ち込むためのSFJへの手続きも、ご家族と一緒に事前に全て済ませ、きっちゃんが飛行機に乗るための準備が整った。

 

次に考えないといけないのは電源の問題だ。

呼吸器が必要な子どもにとって、電源の確保は絶対条件。
足りなくなる、使えなくなるということが絶対にないように入念に下調べをして準備を進めた。
まずは、移動中のためのバッテリーの準備だ。飛行機では機内電源は使えないため、十分な量のバッテリーが必要になる。搭乗時間の1.5倍のバッテリーは必要だ。そして高すぎるワット数のバッテリーは機内に持ち込めない。
容量の問題から、お父さん達はモバイルバッテリーを買い換えることになった。

ワット数などの関係で機材とバッテリーとの相性があるので、何でも良いわけではない。
私はすぐに、にこりがお世話になっている医療機器の専門家に相談し、きっちゃんのお父さん達がどのバッテリーを買うべきかを教えてもらった。(松井晃先生いつもありがとうございます。)

私は、自分の知識だけで解決しようとしないことを大切にしている。
分からないことはその分野のプロに聞き、最善の方法をお母さん達に伝える。
それが、看護師の限られた知識だけをその場で伝えて終わるよりも、絶対にお母さん達の役に立つはずだ。
分からないことがある度にその分野のプロに相談していたら、いつの間にか、どの分野にも相談できる人が出来ていた。この人的ネットワークは、にこりの大きな強みだ。
今回のような挑戦をする時も、このネットワークがどれほど役立つことか。

在宅人工呼吸器メーカーのフィリップスにも連絡し、電源が足りなくなることのないように、呼吸器の酸素とバッテリーを多めに準備してもらうように調整した。
フィリップスからディズニー管轄の担当にも連絡を入れてもらい、酸素とバッテリーをホテルに準備してもらうよう手配した。

ディズニーのどの場所に電源を確保できる場所があるのか、ホテル内の電源は十分か?
事前に調べられることは全て調べ尽くし、先手を打ったと思う。
これで電源の確保の目処が立った。

 

トイレ(オムツを交換する場所)も確認しないといけない。

飛行機の座席やトイレでは、狭くてきっちゃんのオムツを交換するのは難しい。
体重14~15kgのきっちゃんは首がすわっていないし、膝が曲がらない。
首がすわっているかいないかで、移動や介助時の配慮の仕方が大きく変わる。

きっちゃんは骨粗鬆症もあるので、少しの衝撃でも骨折したりしてしまう。
これには、お母さんもお父さんも普段からとても気をつけていた。

真っ直ぐに足を伸ばしたままのきっちゃんを安全に移動し、安全にオムツを替えられる場所を確保しなければならない。
よくある乳幼児向けのおむつ交換台は、きっちゃんが利用するには難しい。
飛行機では、CAさんに適した場所がないか相談しよう。

 

事前に渕さんやSFJのスタッフの方と話し合いを重ねた。

呼吸器の移動やバギーでどこまで移動するか?

飛行機を降りた後も
きっちゃんが横になれるベッドがあるトイレが望ましいが、そう多くないのが現状。
医療デバイスを一緒に持ち込めるだけの十分なスペースも必要。

そうなると、きっちゃんにとってベストなトイレは、やはり部屋のベッドだろう。
ディズニー内でオムツ交換が必要な時は、できるだけホテルの部屋に帰った方が良さそうだ。

休憩も兼ねて、きっちゃんのトイレ時は毎回部屋に帰る予定にしよう。

 

これで、きっちゃんの東京ディズニーランド1泊2日旅行の準備は全て整った!

 

執筆者の紹介

「きっちゃんディズニーへ行く」のブログ作成のためのインタビューと執筆を担当しましたwebライターの竹馬涼子です。私は、にこりの訪問看護にお世話になったにこりっ子のママでもあります。息子が天国に旅立ち、ライターの仕事を再開している時に、にこり理事長の松丸さんから声をかけて頂き、にこりの一員としてにこりブログ制作のお手伝いをさせて頂くことになりました。

にこりブログの制作を通して、松丸さんの想いやにこりの活動を一人でも多くの方に知って頂き、社会がもっと優しくなれるお手伝いをしていきたいと思っています。松丸さん、にこりはもちろん、医療的ケアが必要な子ども達とご家族への心からの応援の気持ちを込めて、丁寧に執筆させて頂きます。

にこりインタビューブログ担当 竹馬涼子

 

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【目次】 きっちゃんディズニーへ行く(全5話)
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きっちゃんディズニーへ行く① ~医療的ケア児とディズニーへ行こう!プロジェクト~
きっちゃんディズニーへ行く② ~スターフライヤーが協力してくれることに~
きっちゃんディズニーへ行く③  ~初めての飛行機で~
きっちゃんディズニーへ行く④  ~この旅行の意義~ (※準備中)
きっちゃんディズニーへ行く⑤  ~当たり前に助け合える社会への一歩~(※準備中)

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